日本は地震や台風、大雨による災害が多い国です。母国で大きな地震を経験したことがない外国籍スタッフにとっては、揺れたときにどうすればよいか、避難の情報をどう受け取ればよいかが分からないことも少なくありません。
この記事では、外国籍スタッフの住まいで準備しておきたい防災の備えと、災害が起きたときに全員の無事を確かめるための安否確認の仕組みを解説します。
結論:住まい選び・部屋の備え・連絡の仕組みの3つを準備する
外国籍スタッフの防災は、住まいを選ぶ段階で危険の少ない場所か確かめること、部屋の中の備えを整えること、災害のときに連絡を取り合う仕組みを決めておくことの3つが柱です。
災害が起きてから説明しても、言葉の壁があると十分に伝わりません。入居のときの生活オリエンテーションで基本を伝え、年に一度は見直しておきましょう。
住まいを選ぶ段階で確認すること
ハザードマップを見る
市区町村が作っているハザードマップでは、洪水や土砂災害、津波などで危険が想定される場所を確認できます。賃貸物件の契約の際にも、水害ハザードマップでの物件の位置が重要事項として説明されます。住まいの候補が浸水の想定される区域にある場合は、上の階の部屋を選ぶ、避難先を事前に確認しておくなどの備えを考えましょう。
避難場所までの道を確認する
住まいから一番近い避難場所や避難所の位置と、そこまでの道を確認しておきます。入居したら、一度本人と一緒に歩いてみると、いざというときに迷わずに済みます。
部屋の中の備え
- 家具の転倒を防ぐ。背の高い家具や冷蔵庫は、壁を傷つけない突っ張り棒などで固定します。寝る場所の近くに倒れやすいものを置かないことも大切です。
- 住宅用火災警報器を確認する。設置されているか、電池が切れていないかを入居時に確認します。
- 非常持ち出し品を用意する。懐中電灯、モバイルバッテリー、飲み水、常備薬、在留カードやパスポートの写しなどをまとめておきます。
- 食料と水を備蓄する。少なくとも3日分の水と食料を用意しておくよう伝えます。
- ガスの止まり方と戻し方を伝える。大きな揺れのあとはガスメーターが自動で止まることがあります。安全を確認してから自分で戻す方法を教えておきましょう。
部屋に用意する家具・家電は家具・家電はどこまで用意する?最低限そろえたい生活用品リスト、ガスや電気の使い方は電気・ガス・水道の開始手続き|入居前に済ませておくことで解説しています。
避難の情報をどう伝えるか
警戒レベルの意味を伝える
大雨などのときには、自治体から5段階の警戒レベルで避難の情報が出されます。特に「警戒レベル4(避難指示)」が出たら、危険な場所にいる人は全員避難する、ということを伝えておきましょう。日本語の「避難指示」という言葉を見て意味が分かるよう、本人の言語の資料を用意しておくと安心です。
多言語の防災アプリを入れてもらう
観光庁が監修している「Safety tips」など、地震や気象の情報を多言語で知らせてくれるアプリがあります。入居時に本人のスマートフォンに入れてもらい、通知が届くか一緒に確認しておきましょう。スマートフォンに届く緊急速報(緊急地震速報など)の音や画面も、見本を見せておくと、実際に鳴ったときに慌てずに済みます。
地震のときの行動を伝える
揺れたらまず机の下などで頭を守る、揺れがおさまってから火の始末をする、慌てて外に飛び出さない、といった基本の行動を伝えます。地震を経験したことのない人には、動画などを使って説明すると伝わりやすくなります。
安否確認の仕組みを決めておく
災害が起きたときに、スタッフ全員の無事を確かめる方法を決めておきます。
| 決めておくこと | 内容 |
|---|---|
| 連絡の方法 | メッセージアプリのグループなど、普段から使っている方法で「無事」を知らせてもらう |
| 連絡が取れないとき | 同じ寮の人に様子を見てもらう、住まいを訪ねるなど、次の手順 |
| 集合場所 | 寮や社宅で、全員が集まる場所(避難場所など) |
| 連絡の担当者 | 受入れ企業と支援担当者のうち、誰が安否をとりまとめるか |
| 家族への連絡 | 電話がつながりにくいときの、母国の家族への連絡手段(SNSなど) |
災害のときは電話がつながりにくくなります。災害用伝言ダイヤル(171)などの使い方も伝えておくと、連絡の手段が増えます。
年に一度は訓練と見直しを
防災の説明は、入居のときに一度伝えただけでは忘れてしまいます。年に一度、安否確認の連絡を実際に送ってみる、避難場所まで歩いてみるなど、短い訓練をしておくと安心です。定期面談の機会に、非常持ち出し品がそろっているかを確認するのもよい方法です。面談の進め方は定期面談の進め方とチェック項目|住まい・生活の困りごとの聞き方で解説しています。
住まいの防災チェックリスト
- ☐ 住まいの位置をハザードマップで確認した
- ☐ 近くの避難場所と、そこまでの道を本人と確認した
- ☐ 背の高い家具や冷蔵庫を固定した
- ☐ 住宅用火災警報器が作動するか確認した
- ☐ 非常持ち出し品と3日分の水・食料を用意するよう伝えた
- ☐ ガスメーターの戻し方を伝えた
- ☐ 警戒レベルと避難指示の意味を、本人の言語の資料で伝えた
- ☐ 多言語の防災アプリを入れてもらった
- ☐ 安否確認の連絡方法と担当者を決めた
防災の説明は、入居のときの住まいのルールの説明とあわせて行うと効率的です。説明のポイントは生活オリエンテーションで伝えたい住まいのルール|ゴミ出し・騒音・家賃の支払いでまとめています。
まとめ
- 防災の柱は、住まい選び、部屋の備え、連絡の仕組みの3つ
- 住まいを選ぶ段階でハザードマップを確認し、避難場所までの道を本人と歩いておく
- 家具の固定、火災警報器、非常持ち出し品、ガスメーターの戻し方を入居時に確認する
- 警戒レベル4(避難指示)の意味と、多言語の防災アプリを伝えておく
- 安否確認の方法と担当者を決め、年に一度は訓練と見直しをする
避難情報の出し方や避難場所は、市区町村によって異なります。住んでいる地域の自治体のウェブサイトや防災の窓口で、最新の情報をご確認ください。