段階5 就労開始後の支援

日本語学習の機会の提供|支援として何をすればよいか

特定技能外国人への支援の一つに「日本語学習の機会の提供」があります。教室の情報を渡せば足りるのか、受入れ企業が費用まで負担すべきなのか、どこまでやればよいか迷う支援担当者も多いのではないでしょうか。

この記事では、日本語学習の支援として最低限求められる内容を整理したうえで、学び方の選択肢と、本人が学びを続けやすくするための工夫を解説します。

結論:情報提供と案内は必須。続けられる環境づくりが定着につながる

日本語学習の機会の提供は義務的支援の一つで、地域の日本語教室の案内や、教材・オンライン講座の情報提供などを行うことが求められます。本人が学べる場所や方法を知り、申し込めるようにすることが最低限の支援です。

ただ、情報を渡すだけでは、仕事の疲れや勤務シフトの事情で続かないことも多くあります。日本語が上達すると、職場でのやり取りや生活のトラブルが減り、特定技能2号への移行にもつながります。学ぶ時間・場所・費用・ネット環境といった、続けられる環境を一緒に整えることが、長く働いてもらうための近道です。

支援として求められる内容

日本語学習の機会の提供としては、たとえば次のような支援が想定されています。

  • 住んでいる地域や職場の近くの日本語教室などの情報を提供し、入学の案内をする
  • 日本語学習の教材や、オンラインの日本語講座の情報を提供する
  • 受入れ企業などが日本語の講師と契約して、日本語を学ぶ機会を設ける

案内した教室や教材、本人が実際に学んでいるかどうかは、支援の記録として残しておきましょう。記録の残し方は相談・苦情対応の記録の残し方|支援実施状況の確認に備えるで解説しています。

日本語の学び方の比べ方

学び方 よいところ 気をつけたい点
地域の日本語教室(自治体や国際交流協会など) 無料や低い費用で参加できることが多い。地域の人と知り合える 開催日時が限られる。住まいから通えるかを確認する
日本語学校の夜間・週末のコース 体系的に学べる。試験対策のコースもある 費用がかかる。勤務シフトと時間が合うかを確認する
オンライン講座 好きな時間に、住まいから学べる 一人だと続けにくい。インターネット環境が必要
社内の勉強会 職場で使う言葉を中心に学べる。同僚と一緒に学べる 教える人の確保と、勤務時間との兼ね合い
教材やアプリでの自習 費用を抑えられ、すきま時間に学べる 学ぶ習慣がないと続かない。進み具合が見えにくい

どれか一つに決める必要はありません。たとえば、平日はアプリで自習し、週末は地域の日本語教室に通う、といった組み合わせも効果的です。

学びを続けやすくするための工夫

目標をはっきりさせる

「日本語を勉強してください」だけでは続きません。日本語能力試験の受験や、特定技能2号への移行、職場での役割の拡大など、本人にとって意味のある目標と結びつけると、学ぶ意欲が続きやすくなります。2号への移行については通算5年が近づいた特定技能1号の選択肢|2号移行・転職・帰国で解説しています。

勤務シフトに合った時間を選ぶ

夜勤や交代勤務がある職場では、決まった曜日・時間の教室に通い続けるのが難しいことがあります。シフトに合わせて通える教室を探す、オンライン講座と組み合わせるなど、本人の働き方に合った方法を選びましょう。受入れ企業に、教室のある日はシフトを配慮してもらえないか相談するのも一つの方法です。

費用の負担を決める

日本語学校の受講料や試験の受験料を、受入れ企業が補助するケースもあります。補助する場合は、対象となる費用と条件を決めて、本人に伝えておきましょう。

職場で使う日本語から始める

職場でよく使う言葉や、安全に関わる表示の意味などは、すぐに役に立ち、学ぶ意味を実感しやすい内容です。受入れ企業と協力して、職場の言葉のリストを作るのも効果があります。

住まいと日本語学習の関係

住まいのインターネット環境

オンライン講座やアプリで学ぶには、住まいのインターネット環境が欠かせません。Wi-Fiがあれば、通信量を気にせず動画の講座も受けられます。住まいに用意するものは家具・家電はどこまで用意する?最低限そろえたい生活用品リストでまとめています。

教室に通いやすい場所か

地域の日本語教室は、公民館や国際交流協会の施設などで開かれることが多く、住まいから遠いと通い続けるのが難しくなります。住まいを探すときに、近くで日本語教室が開かれているかを確認しておくと、入国後の学びにつなげやすくなります。

日本語ができると住まいのトラブルが減る

ゴミの分別表を読める、管理会社に設備の不具合を自分で伝えられる、近所の人とあいさつができる。生活の日本語が身につくと、住まいのトラブルが起きにくくなり、起きても早く解決できます。住まいのルールの伝え方は生活オリエンテーションで伝えたい住まいのルール|ゴミ出し・騒音・家賃の支払いで解説しています。

定期面談で進み具合を確認する

日本語の学習は、始めることより続けることのほうが難しいものです。定期面談のたびに、今どんな方法で学んでいるか、困っていることはないかを聞き、必要なら学び方を見直しましょう。面談の進め方は定期面談の進め方とチェック項目|住まい・生活の困りごとの聞き方で解説しています。

日本語学習の支援チェックリスト

  • ☐ 住まいや職場の近くの日本語教室を調べ、本人に案内した
  • ☐ オンライン講座や教材の情報を提供した
  • ☐ 本人の目標(試験、2号への移行など)を確認した
  • ☐ 勤務シフトに合った学び方を一緒に考えた
  • ☐ 受講料や受験料の補助の有無を受入れ企業と確認した
  • ☐ 住まいのインターネット環境を確認した
  • ☐ 案内した内容と学習の状況を記録した

まとめ

  • 日本語学習の機会の提供は義務的支援。教室の案内や教材の情報提供などが最低限の支援
  • 地域の教室、日本語学校、オンライン講座、社内の勉強会、自習を組み合わせて選ぶ
  • 試験や2号への移行など、本人にとって意味のある目標と結びつけると続きやすい
  • 勤務シフト、費用、住まいのインターネット環境など、続けられる環境を整える
  • 定期面談で進み具合を確認し、案内した内容と学習の状況を記録しておく

日本語学習の支援として求められる内容は、運用要領の改訂で変わることがあります。最終的な確認は、出入国在留管理庁の最新情報をご確認ください。

次の段階 6. 届出・更新

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。