外国籍スタッフの入国後の手続きで、つまずきやすいのが銀行口座の開設です。窓口で断られた、書類が足りずに何度も出直した、という経験のある支援担当者も多いのではないでしょうか。口座がないと、給与の振込だけでなく、携帯電話の契約や家賃の支払いまで止まってしまいます。
この記事では、銀行口座の開設を断られやすい理由と、行く前にそろえておきたい書類、口座ができるまでの対処法を解説します。
結論:住所の届出を済ませ、勤務先の証明を持って行く
口座の開設で断られる理由の多くは、住所が確認できない、勤務先や収入が確認できない、在留期間の残りが短いのいずれかです。
住居地の届出を済ませて在留カードに住所が記載された状態にし、在職証明書などの勤務先を示す書類を持って行くと、開設できる可能性が高まります。金融機関によって条件が違うため、行く前に支店へ問い合わせておくのが確実です。
口座の開設を断られやすい理由
| 理由 | よくある状況 | 対処の方向 |
|---|---|---|
| 住所が確認できない | 入国直後で、住居地の届出がまだ。在留カードの裏面に住所がない | 先に市区町村で住居地の届出を済ませる |
| 在留期間の残りが短い | 在留カードの満了日が近い | 更新後に申し込む、または更新の予定を説明できるようにする |
| 勤務先や収入が確認できない | 入社前、または勤務先を示す書類がない | 在職証明書や雇用契約書を用意する |
| 取引の目的が説明できない | 何のために口座を使うのか、本人がうまく答えられない | 「給与の受け取りと生活費の支払い」など、目的を事前に確認しておく |
| 店舗の取扱範囲の外 | 住所や勤務先から遠い支店に行った | 住まいか勤務先の近くの支店に行く |
金融機関は、口座が不正に使われることを防ぐため、本人確認や取引の目的の確認を厳しく行っています。入国から間もない人や、在留期間の残りが短い人の口座開設には、慎重な対応をとる金融機関もあります。
行く前にそろえておきたいもの
- ☐ 在留カード(裏面に現住所が記載されているもの)
- ☐ パスポート
- ☐ 勤務先を示す書類(在職証明書、雇用契約書、社員証など)
- ☐ 住民票の写し(求められることがある)
- ☐ 印鑑(サインで手続きできる金融機関もある)
- ☐ 連絡がとれる電話番号(携帯電話の契約前なら、受入れ企業の電話番号を使えるか確認する)
- ☐ 口座の利用目的を説明できるように準備
キャッシュカードは後日、届け出た住所に郵送されることが多くあります。郵便受けや表札に本人の名前を出しておかないと、届かずに金融機関へ戻ってしまうことがあるので注意しましょう。
口座が作れないときの選択肢
受入れ企業の取引銀行に相談する
受入れ企業が給与振込に使っている銀行であれば、会社からの紹介として相談すると、手続きが進めやすくなることがあります。複数のスタッフを受け入れる場合は、事前に銀行と相談しておくと、入国後の開設がスムーズです。
別の金融機関を検討する
口座開設の条件は金融機関によって違います。一つの金融機関で断られても、ゆうちょ銀行や地域の銀行、在留カードで申し込めるネット銀行など、別の金融機関では開設できることがあります。ただし、ネット銀行は日本語での手続きが中心のことも多いため、本人が使いこなせるかもあわせて考えましょう。
時期をずらす
在留期間の残りが短いことが理由なら、在留期間の更新が許可されてから申し込むのも一つの方法です。勤務先の確認が理由なら、入社して在職証明書が出せるようになってから申し込みます。
口座ができるまでの給与と家賃の払い方
給与
給与は通貨で直接支払うのが原則で、口座への振込は本人の同意を得て行うものです。口座ができるまでの間は、現金で手渡しする方法もあります。また、2023年4月からは、本人の同意があれば、一定の条件を満たした資金移動業者の口座(いわゆるデジタル払い)で給与を支払うこともできるようになっています。どの方法をとる場合も、受入れ企業と本人の間で取り決めておきましょう。
家賃と生活費
家賃や保証会社への支払いは、口座振替になっていることがよくあります。口座ができるまでの支払い方法を、管理会社や保証会社に確認しておきましょう。借上げ社宅で家賃を給与から差し引いている場合は、本人の口座がなくても家賃の支払いに困ることはありません。入居審査で求められる書類は外国籍の方の入居審査で必要な書類と、審査に通りやすくする準備で解説しています。
携帯電話の契約も、支払い方法として口座やクレジットカードを求められることが多く、口座の開設が遅れると連鎖して遅れます。入国後の手続きの順番は入国直後の生活立ち上げチェックリスト|住居地の届出・口座・携帯の順番をご覧ください。
口座を作ったら必ず伝えたいこと
口座の売買や貸し借りは法律で禁止されている
自分の口座やキャッシュカードを他人に売ったり、譲ったり、貸したりすることは法律で禁止されており、処罰の対象になります。帰国前に「口座を買い取る」と持ちかけられるケースもあり、知らないうちに犯罪に使われてしまうおそれがあります。口座を作ったときと、帰国が決まったときの両方で、本人にはっきり伝えましょう。
帰国するときは、最後の給与や敷金の返還などの入金が済んでから口座を解約します。退職・帰国のときの段取りは退職・帰国が決まったら|届出と住まいの退去の段取りで解説しています。
また、口座の開設に時間がかかることや、給与の受け取り方は、事前ガイダンスの段階で本人に伝えておくと、入国後の不安を減らせます。説明のポイントは事前ガイダンスで説明すること|住まいと生活費をどう伝えるかでまとめています。
まとめ
- 口座の開設を断られる主な理由は、住所・勤務先・在留期間の残りが確認できないこと
- 住居地の届出を先に済ませ、在職証明書などの勤務先の書類を持って行く
- 金融機関によって条件が違うため、行く前に支店に確認する。断られても別の金融機関で作れることがある
- 口座ができるまでの給与や家賃の払い方を、受入れ企業や管理会社と決めておく
- 口座の売買や貸し借りは法律で禁止されていることを、本人にはっきり伝える
口座開設の条件は金融機関ごとに異なり、変わることもあります。手続きの前に、各金融機関の最新の案内をご確認ください。