特定技能1号で働いてきたスタッフが2号に移行すると、母国の家族を日本に呼び寄せられるようになります。長く働いてもらううえで大きな前進ですが、支援担当者にとっては「単身用の社宅から、家族で住める住まいへどう移るか」という新しい課題が出てきます。
この記事では、特定技能2号の家族帯同の基本を整理したうえで、家族で住む住まいの広さの目安、住み替えの進め方、呼び寄せの手続きと住まいの準備のタイミングを解説します。
結論:家族の在留資格の審査中に、家族で住める住まいを探す
特定技能2号の人は、要件を満たせば、配偶者と子どもを在留資格「家族滞在」で呼び寄せることができます。家族を海外から呼び寄せる場合は、在留資格認定証明書の申請を出し、審査を待っている間に家族で住める住まいを探すのが基本の流れです。
単身用の社宅や相部屋の寮では、家族で暮らすことはできません。呼び寄せの話が出た段階で、住まいの方式や費用の負担をどうするかを、受入れ企業と本人で早めに話し合っておきましょう。
特定技能1号と2号の違い
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 家族の帯同 | 原則できない | 要件を満たせば配偶者と子どもを呼び寄せられる |
| 在留期間 | 3年を超えない範囲で個々に指定。通算は原則5年まで | 3年、2年、1年、6月のいずれか。通算の上限はない |
| 受入れ機関の支援 | 支援計画に沿った支援が必要(住居確保を含む) | 支援計画による支援は求められていない |
| 対象分野 | 介護を含む各分野 | 介護は対象外(介護には在留資格「介護」がある) |
2号では、1号のような住居確保の支援は義務ではありません。そのため、居室1人当たり7.5㎡以上といった1号の住まいの基準も、2号の人には当てはまりません。ただし、家族で暮らせる住まいがなければ呼び寄せは進められないため、実際には受入れ企業や支援担当者が住まい探しを手伝う場面が多くなります。
家族で住む住まいの広さの目安
家族で住む住まいの広さに、在留資格上の決まった基準はありません。目安として参考になるのが、国の住生活基本計画で示されている「最低居住面積水準」です。
| 世帯の人数 | 最低居住面積水準の目安 | 間取りのイメージ |
|---|---|---|
| 単身 | 25㎡ | 1K、1R |
| 2人(夫婦) | 30㎡ | 1DK、1LDK |
| 3人(夫婦と子ども1人) | 40㎡ | 2DK、2LDK |
| 4人(夫婦と子ども2人) | 50㎡ | 2LDK、3DK |
2人以上の世帯では「10㎡×人数+10㎡」が目安です。小さな子どもは年齢によって人数の数え方が変わるため、実際にはこれより狭くても目安を満たす場合があります。あくまで健康で文化的な暮らしに必要な最低限の目安なので、子どもの成長も考えて、少し余裕のある広さを選ぶと安心です。
住まいをどう用意するか
単身の社宅からは住み替えが必要
1号のときに住んでいた単身用の社宅や、同僚との相部屋の寮には、家族と一緒に住むことはできません。家族を呼び寄せる前に、家族で住める住まいへ移る必要があります。
借上げ社宅か、本人契約か
2号の人は在留期間が長く、日本での収入の実績もあるため、1号のときより本人契約で部屋を借りやすくなります。一方、家族向けの物件は家賃や初期費用が高くなるため、受入れ企業が借上げ社宅として用意し、家賃の一部を補助するケースもあります。どちらにするかは、費用の負担と、長く働いてもらうための福利厚生の考え方で決めましょう。方式ごとの違いは借上げ社宅と本人契約、どちらを選ぶ?費用・手間・退去時の違いで整理しています。
家族向けの物件探しで気をつけたいこと
- 入居する人を全員申告する。家族の人数と年齢を、申込みの段階で正しく伝えます。後から家族が増える場合も、管理会社に届け出ます。
- 保育園や学校を考える。子どもがいる場合は、通える保育園や小中学校の場所も物件選びの条件になります。
- 通勤と生活の両立。本人の通勤だけでなく、家族の買い物や通院のしやすさも確認します。
- 騒音への配慮。子どもの足音や声は、集合住宅では下の階に響きやすくなります。1階や、子育て世帯の多い物件も選択肢になります。
入居審査で見られる点は外国籍の方の入居審査で必要な書類と、審査に通りやすくする準備で解説しています。
呼び寄せの手続きと住まいの準備のタイミング
| 時期 | 家族の手続き | 住まいの準備 |
|---|---|---|
| 呼び寄せを決めたら | 家族の人数と、呼び寄せる時期を本人と確認 | 住まいの方式と費用負担を受入れ企業と相談。家族の人数に合った広さと家賃の上限を決める |
| 申請の準備 | 家族関係を証明する書類、本人の収入を証明する書類などを集める | 住む地域を決め、保育園や学校の場所を確認 |
| 審査中(1〜3か月程度) | 入管の審査を待つ | 物件を探して候補を絞る |
| 証明書の交付後 | 家族が現地で査証を申請し、来日 | 契約して入居。今の住まいの解約・退去も進める |
| 来日後 | 家族の住居地の届出(14日以内) | 家族にも住まいのルールを説明 |
家族滞在の審査では、本人に家族を養える収入があるかなどが確認されます。審査期間の目安と、待っている間に進める準備は在留資格認定証明書の審査期間はどのくらい?待っている間に進める準備も参考になります。
本人が先に引っ越しておくと手続きがスムーズ
家族が来日する前に、本人が先に家族向けの住まいへ引っ越しておくと、家族は来日したその日から新しい住まいで暮らし始められます。ただし、家族が来るまでの間は広い部屋の家賃を一人で負担することになるため、入居の時期は家族の来日の見込みに合わせて調整しましょう。
今の住まいから引っ越すときの進め方は、外国籍スタッフから「引っ越したい」と言われたら|支援担当者がやることをご覧ください。
家族が来日したあとの生活の支援
2号では支援計画による支援は求められていませんが、家族が日本の生活に慣れるまでは、ちょっとした手助けが大きな安心につながります。
- 家族の住居地の届出、健康保険、子どもの予防接種や健診の手続き
- 保育園の申込みや、小中学校への入学・転入の手続き
- ゴミの出し方や騒音など、家族にも住まいのルールを説明する
- 近くの病院、スーパー、役所の場所を案内する
住まいのルールの伝え方は、生活オリエンテーションで伝えたい住まいのルール|ゴミ出し・騒音・家賃の支払いでまとめています。家族全員に伝わるよう、配偶者の分かる言語の資料も用意しておくと安心です。
まとめ
- 特定技能2号の人は、要件を満たせば配偶者と子どもを「家族滞在」で呼び寄せられる
- 2号では支援計画による住居確保の支援は義務ではないが、実際には住まい探しの手助けが必要になる
- 家族で住む広さは、最低居住面積水準(2人以上は10㎡×人数+10㎡)が目安
- 単身用の社宅や相部屋からは住み替えが必要。方式と費用負担を早めに決める
- 家族の在留資格の審査中に住まいを探し、交付後に契約するのが基本
家族滞在の要件や2号の対象分野は、制度の見直しで変わることがあります。最終的な確認は、出入国在留管理庁の公式情報をご確認ください。