段階3 住まいの確保

社宅の大家から家賃の値上げを求められたとき|応じる前に確認したいことと、寮費への影響

物価や固定資産税、管理の費用の上昇などを理由に、借上げ社宅の大家や管理会社から「来月から家賃を上げたい」「次の更新から家賃を上げてほしい」と求められることがあります。社宅をいくつも借りている会社では、値上げの影響は小さくありません。また、外国籍スタッフから寮費を受け取っている場合は、本人の負担をどうするかも考える必要があります。

この記事では、借上げ社宅の家賃の値上げを求められたときに、応じる前に確認したいことと、交渉の進め方、寮費への影響の考え方を解説します。

結論:すぐに応じず、理由と金額を確かめてから、交渉・移転と比べて決める

家賃の値上げは、大家と借主が合意して初めて決まるのが基本です。通知が来ても、すぐに応じる必要はありません。まず値上げの理由と金額、いつからかを確かめ、周りの物件の家賃と比べて妥当かを考えましょう。

そのうえで、交渉して条件を調整するか、ほかの物件に移るかを、移転にかかる費用も含めて比べて決めます。値上げを受け入れる場合は、外国籍スタッフの寮費への反映の仕方も、あわせて決めておきましょう。

値上げを求められたときに確認したいこと

確認すること ポイント
値上げの理由 税金や管理の費用の上昇、周りの家賃との差など、理由を具体的に聞く
金額と時期 いくら上がるか、いつからか。共益費や駐車場代も含まれるか
周りの物件の家賃 同じくらいの広さ・築年数の物件の家賃と比べて、妥当な金額か
契約の内容 一定の期間は家賃を上げないという特約がないか。定期借家契約かどうか
書面での通知か 口頭だけでなく、書面で通知を受け取り、記録を残す

合意できないときの法律の考え方

建物の賃貸借では、税金や建物の価格の変動、周りの家賃との比較などで家賃が不相当になったとき、大家と借主のどちらからでも、家賃の増額や減額を求めることができるとされています。ただし、話し合いで合意できない場合でも、借主は自分が相当と考える家賃(多くはこれまでの家賃)を払っていれば、すぐに契約違反になるわけではありません。話し合いで決まらない場合は、裁判所の調停などで決めることになります。個別の判断は、専門家に相談しましょう。

交渉するか、移るかの比べ方

選び方 よい点 注意したい点
値上げを受け入れる 手間がかからず、入居者の暮らしを変えずに済む 会社の負担が増える。寮費への反映を決める必要がある
値上げの幅や時期を交渉する 負担を抑えられることがある 長く借りていることや、複数の部屋を借りていることを材料にする
ほかの物件に移る 家賃を抑えられることがある 初期費用、引っ越しの費用、原状回復の費用、入居者の通勤や生活への影響がかかる

移る場合は、新しい物件の敷金・礼金・仲介手数料や引っ越しの費用、今の部屋の原状回復の費用がかかります。値上げで増える家賃の額と、移転にかかる費用を、住む予定の期間で比べて判断しましょう。初期費用の見方は社宅の見積もりの見方|初期費用の内訳と、外せる費用・交渉できる費用、更新のときの確認は社宅の更新手続き|2年ごとの更新料と在留期限の確認で解説しています。

交渉は、管理会社や手配した不動産会社を通して

値上げの交渉は、管理会社や、社宅を手配した不動産会社を通して進めると、周りの家賃の相場など、判断の材料を集めやすくなります。会社として長く借りていることや、入居者が丁寧に住んでいることを伝えると、交渉の材料になることもあります。不動産会社に任せるときの確認は住まいの手配を不動産会社に任せるとき|登録支援機関・派遣会社が確認したいことをご覧ください。

外国籍スタッフの寮費への反映

  • 本人負担を変えるかを決める。家賃が上がっても、会社が差額を負担して寮費は変えないという判断もあります。
  • 変える場合は、理由と金額を説明して合意を得る。大家からの通知の内容を示し、本人が理解できる言語で説明します。
  • 特定技能の上限を守る。借上げの場合、本人から受け取れるのは、家賃と管理費・共益費を入居する人数で割った額までです。
  • 給料からの差し引きを見直す。差し引く額を変えるときは、労使協定の範囲内か確認し、給与明細の表示も変えます。
  • 変える時期に余裕を持つ。急に負担が増えると生活に影響するため、前もって伝え、時期に余裕を持たせます。

寮費を見直すときの伝え方は寮費を見直すとき|家賃や光熱費の値上がりを外国籍スタッフにどう伝え、どう決めるか、給料から差し引くときのルールは社宅の家賃を給料から差し引くとき|労使協定と課税の考え方で解説しています。

空き部屋の多い寮は、値上げを機に見直す

値上げの通知は、借りている物件全体を見直すよい機会でもあります。空き部屋やベッドが多い寮、通勤に不便な寮などは、値上げを受け入れるより、まとめたり移ったりした方が負担を抑えられることがあります。空きが出たときの考え方は寮・社宅に空きが出たとき|空いた部屋の家賃の負担と、解約するか持ち続けるかの判断、借上げと本人契約の違いは借上げ社宅と本人契約、どちらを選ぶ?費用・手間・退去時の違い、賃貸の用語は外国籍スタッフに伝えたい賃貸の用語|敷金・礼金・更新料・原状回復をやさしい日本語で説明するもご覧ください。

家賃の値上げを求められたときのチェックリスト

  • ☐ 値上げの理由、金額、時期を書面で確認した
  • ☐ 契約に、家賃を上げない特約や定期借家の定めがないか確認した
  • ☐ 周りの同じくらいの物件の家賃と比べた
  • ☐ 値上げの幅や時期を、管理会社を通して交渉した
  • ☐ 値上げを受け入れる場合と、ほかの物件に移る場合の費用を比べた
  • ☐ 寮費を変えるかどうかを決めた
  • ☐ 寮費を変える場合、理由と金額を本人の言語で説明し、合意を得た
  • ☐ 特定技能の上限と、労使協定の範囲を確認した

まとめ

  • 家賃の値上げは、大家と借主が合意して決まるのが基本で、通知が来てもすぐに応じる必要はない
  • 値上げの理由、金額、時期、契約の特約を確認し、周りの家賃と比べる
  • 合意できなくても、借主は相当と考える家賃を払っていれば、すぐに契約違反にはならない
  • 受け入れるか、交渉するか、移るかを、移転の費用も含めて比べる
  • 寮費を変える場合は、理由を説明して合意を得て、特定技能の上限を守る

家賃の増減の扱いは、契約の内容や個々の事情によって判断が変わります。合意できない場合や判断に迷う場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。

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このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。