アパートやマンションでは、消防設備の点検や排水管の清掃、受水槽の清掃による断水、外壁の塗り替えなど、建物の点検や工事が定期的に行われます。そのお知らせは、建物の掲示板への貼り出しや、各部屋のポストへの投函で届くのが一般的です。
日本語のお知らせを読めない外国籍スタッフは、こうしたお知らせに気づかないまま当日を迎え、部屋に入る点検ができなかったり、断水の時間に料理や入浴ができずに困ったりすることがあります。この記事では、建物の点検や工事のお知らせに入居者が困らないための把握の仕方と伝え方を解説します。
結論:お知らせは管理会社から担当者にも届くようにし、要点を本人の言語で伝える
点検や工事のお知らせを入居者だけに任せると、見落としが起きやすくなります。管理会社に、お知らせを担当者にも送ってもらうよう頼んでおくと、会社として予定を把握できます。
そのうえで、いつ、何があるか、本人が何をすればよいかを、やさしい日本語や本人の言語で短く伝えましょう。部屋に入る点検の場合は、誰が立ち会うかも前もって決めておくことが大切です。
よくある点検・工事と、入居者に伝えたいこと
| 点検・工事 | 内容 | 入居者に伝えたいこと |
|---|---|---|
| 消防設備の点検 | 火災報知器や消火器などを点検する。部屋の中の感知器を確認するため、部屋に入ることがある | 点検の日時、部屋に入ること、在室できない場合の対応 |
| 排水管の清掃 | 台所や浴室、洗面所の排水管を、高圧の水で洗う | 流しの下や洗面台の下の物を片付けておくこと |
| 断水 | 受水槽の清掃や工事で、一定の時間、水が使えなくなる | 断水の時間、前もって水をくんでおくこと、トイレが使えない時間があること |
| 停電 | 電気の設備の点検で、一定の時間、電気が止まる | 停電の時間、冷蔵庫の中身、インターネットが使えないこと |
| 外壁の塗り替え・大規模な修繕 | 建物に足場を組み、外壁や防水の工事をする。数週間から数か月かかる | ベランダの物を片付けること、洗濯物を外に干せない期間、窓を開けられない日、作業員が窓の外を通ること |
郵便受けのお知らせを見落とさない工夫は役所や会社からの郵便物を見落とさない|外国籍スタッフの郵便受けと手紙の確認、火事を防ぐための注意は外国籍スタッフの住まいの火災予防|たこ足配線・調理・たばこの注意点で解説しています。
お知らせは、写真で送ってもらう習慣を
掲示板やポストに日本語のお知らせがあったら、写真を撮って担当者に送ってもらう習慣をつけておくと、見落としを防げます。担当者は、内容を確認して、要点を本人の言語で返しましょう。翻訳アプリを使えば本人がある程度読める場合でも、「自分が何をすればよいか」を一言で伝えると安心です。
部屋に入る点検の立ち会い
- 在室できるかを確認する。点検の日時に本人が仕事などで不在の場合は、日程を変えられるか管理会社に相談します。
- 立ち会う人を決める。本人が在室できない場合に、担当者が立ち会うか、管理会社に合鍵で入ってもらうかを、本人の了解を得て決めます。
- 女性のスタッフの部屋には配慮する。女性のスタッフが一人のときに作業員が入る場合は、できれば担当者が立ち会うなど、本人が不安にならないようにします。
- 貴重品を片付けてもらう。不在のときに部屋に入る場合は、貴重品や見られたくない物を片付けてもらいます。
女性のスタッフの住まいで配慮したいことは女性の外国籍スタッフの住まい|防犯を考えた物件選びと、寮で配慮したいことをご覧ください。
点検ができないと、建物全体の安全に関わる
消防設備の点検は、建物の安全を守るために法律で定められたものです。部屋に入れずに点検ができないと、火事のときに感知器が働くかどうかを確かめられません。点検の大切さを本人に伝え、在室できない場合でも点検を受けられるよう、日程の調整や立ち会いを手伝いましょう。
会社として決めておきたいこと
| 決めること | 例 |
|---|---|
| お知らせの受け取り | 管理会社に、点検や工事のお知らせを担当者にもメールなどで送ってもらう |
| 本人への伝え方 | 要点を本人の言語で、メッセージアプリなどで送る。掲示の写真も添える |
| 立ち会いのルール | 不在のときに部屋に入ってよいか、誰が立ち会うかを、入居時に本人と決めておく |
| 予定の管理 | 寮ごとの点検や工事の予定を、社宅の台帳に書いておく |
寮ごとの予定の管理は社宅の管理を外部に任せるとき|自社管理との比べ方、任せられる業務と、社宅台帳で押さえたいこと、見回りのときの確認は寮・社宅の見回り訪問のしかた|確認するポイントと記録で解説しています。
入居の日に「お知らせの見方」を伝えておく
入居の日に、建物の掲示板の場所と、点検や工事のお知らせがどんな見た目かを見せておくと、本人も気づきやすくなります。よくあるお知らせの見本を、住まいのルールの資料に入れておくのもよい方法です。入居初日の説明は入居初日に部屋で説明すること|鍵・設備の使い方と、その夜に困らないための準備、資料の作り方は外国籍スタッフ向け住まいのルール資料の作り方|多言語化のコツ、点検の際に設備の不具合が見つかったときは寮・社宅の設備が壊れたとき|水漏れ・エアコン・トイレの詰まりの連絡の流れと費用の負担もご覧ください。
点検・工事のお知らせへの対応のチェックリスト
- ☐ 管理会社に、点検や工事のお知らせを担当者にも送ってもらうよう頼んだ
- ☐ 掲示やポストのお知らせを写真で送ってもらうよう、本人に伝えた
- ☐ お知らせの要点を、本人の言語で伝えている
- ☐ 部屋に入る点検の立ち会いのルールを、本人と決めた
- ☐ 断水や停電のときの備えを伝えた
- ☐ 大規模な修繕のときのベランダや洗濯物の注意を伝えた
- ☐ 寮ごとの点検や工事の予定を、台帳に書いている
まとめ
- 建物の点検や工事のお知らせは、日本語の掲示や投函で届くため、外国籍スタッフは見落としやすい
- 管理会社に、お知らせを担当者にも送ってもらうよう頼んでおく
- いつ、何があり、本人が何をすればよいかを、本人の言語で短く伝える
- 部屋に入る点検は、在室できるか、誰が立ち会うかを前もって決める
- 消防設備の点検は建物の安全に関わるため、受けられるよう手伝う
点検や工事の内容や時期は、建物によって異なります。具体的な予定は、管理会社のお知らせでご確認ください。