段階5 就労開始後の支援

受入れ企業の違うスタッフを同じ寮に住まわせるとき|契約の名義、費用の分け方、ルールの統一、退去のときの扱い

登録支援機関や派遣会社が、いくつもの受入れ企業のスタッフを支援していると、同じ寮やアパートに、勤め先の違う外国籍スタッフをまとめて住まわせることがあります。物件を探す手間が減り、空いた部屋を活用できる一方で、費用の分け方やルール、誰が何に責任を持つのかがあいまいになりやすい形でもあります。

この記事では、受入れ企業の違うスタッフを同じ寮に住まわせるときに、前もって決めておきたいことを解説します。

結論:契約の名義と転貸の可否を確かめ、費用・ルール・連絡の窓口を、関係する会社と書面で決めておく

まず、物件の契約の名義と、勤め先の違うスタッフを住まわせることが契約で認められているかを確認します。そのうえで、家賃や光熱費、空いた部屋の費用を誰が負担するか、寮のルールと連絡の窓口を、関係する受入れ企業と書面で決めておきましょう。

特に、どこかの会社との契約が終わり、その会社のスタッフが退去するときの扱いを最初に決めておくと、あとで揉めずに済みます。

契約の名義と、確認したいこと

名義の形 特徴 確認したいこと
登録支援機関・派遣会社の名義 支援する側がまとめて借り、各社のスタッフを住まわせる 契約者以外の会社のスタッフを住まわせることや、費用を受け取ることが、契約で認められているか(転貸にあたらないか)
受入れ企業の一社の名義 一社が借りた物件に、ほかの会社のスタッフも住む 名義の会社が、ほかの会社のスタッフの分まで責任を負う形になることを、その会社が理解しているか
部屋ごとに各社の名義 同じ建物の別の部屋を、各社がそれぞれ借りる 建物の共用部のルールや、近所への対応を誰がまとめるか

契約の名義の考え方は派遣スタッフの社宅を借上げで用意するときの契約名義と注意点、契約書で確認したい条項は社宅の賃貸借契約書で確認したい条項|入居人数・入居者の変更・解約・原状回復の特約を会社の目線で読むで解説しています。

入居者の「勤め先」が変わることを、管理会社に伝えておく

賃貸借契約では、入居者が誰か、どこで働いている人かを申込みのときに伝えていることが多くあります。勤め先の違うスタッフを住まわせたり、入れ替えたりする場合は、事前に管理会社や大家さんに伝え、了解を得ておきましょう。黙って入居者を入れ替えると、契約違反として扱われるおそれがあります。

費用の分け方

費用 分け方の例 注意したい点
家賃 部屋ごと、または入居者の人数で各社に割り振る 部屋の広さや個室・相部屋の違いを考える
光熱費 部屋ごとのメーターで分ける、または人数で割る 相部屋で会社が違う場合の分け方を決めておく
空いた部屋の家賃 直前に住んでいた人の会社が一定期間負担する、または支援機関が負担する いつまで誰が負担するかを決めておく
初期費用・退去の費用 入居した期間や部屋で各社に割り振る 原状回復の費用を、どのスタッフの分か分けられるよう、入居時の記録を残す
備品・共用部の費用 人数で割る 洗濯機や冷蔵庫など、共用の備品の買い替えの負担を決める

空いた部屋の費用の考え方は寮・社宅に空きが出たとき|空いた部屋の家賃の負担と、解約するか持ち続けるかの判断、光熱費の分け方は寮・ルームシェアの光熱費の分け方|定額・人数割り・個別メーターの比べ方で解説しています。

本人から受け取る費用は、会社によって差をつけない

同じ寮の同じような部屋に住んでいるのに、勤め先によって寮費が違うと、入居者の不満につながります。特定技能の場合は、本人から受け取る住まいの費用は実際の費用の範囲で、本人が理解して合意していることが求められます。会社ごとに差が出る場合は、その理由を説明できるようにしておきましょう。

ルールの統一と、勤務時間の違いへの配慮

  • 寮のルールは一つにする。ゴミ出しや騒音、来客などのルールは、勤め先にかかわらず同じものを使います。
  • 違反への対応を決めておく。ルールを守らない入居者への注意を、支援機関が行うのか、各社が行うのかを決めます。
  • 勤務の時間を考えて部屋を分ける。夜勤のある会社と日勤だけの会社のスタッフを同じ部屋にすると、生活の時間がずれて眠れないなどの不満が出やすくなります。
  • 会社の違いを理由にした対立を防ぐ。待遇の違いが話題になり、入居者どうしの関係が悪くなることがあります。困りごとは担当者に相談するよう伝えます。

寮のルールの条文例は外国籍スタッフ向け寮規程の条文例|派遣会社・受入れ企業がそのまま使えるひな形、部屋割りの考え方は国籍の違うスタッフが同じ寮に住むとき|部屋割りの考え方とトラブルを防ぐ工夫をご覧ください。

連絡の窓口と、退去のときの扱い

  1. 寮全体の窓口を一つに決める。管理会社や近所からの連絡を受ける窓口を、支援機関などに一本化します。
  2. 各社の担当者の連絡先をまとめる。入居者ごとに、どの会社の誰に連絡すればよいかを一覧にしておきます。
  3. 契約が終わったときの退去の猶予を決める。ある会社との雇用や派遣の契約が終わったとき、そのスタッフが何日以内に退去するか、次の住まいをどうするかを決めておきます。
  4. 退去の費用の精算方法を決める。退去するスタッフの部屋の原状回復の費用を、どの会社が負担するかを決めておきます。

関係者の役割分担は住まいの担当と役割分担を決める|受入れ企業・支援機関・不動産会社の情報共有、契約が終わったときの退去の猶予は派遣契約が終わったときの寮の退去|猶予期間と次の住まいで解説しています。

取り決めは、受入れ企業ごとの覚書にしておく

費用の負担や退去の扱いを口約束にしておくと、担当者が替わったときや、会社との関係が終わるときに揉めやすくなります。受入れ企業ごとに、寮の利用についての覚書を交わしておくと安心です。入居者が増えたり減ったりしたときに見直す時期も決めておきましょう。

複数の会社のスタッフを同じ寮に住まわせるときのチェックリスト

  • ☐ 物件の契約の名義を確認した
  • ☐ 勤め先の違うスタッフを住まわせることを、管理会社や大家さんに伝え、了解を得た
  • ☐ 家賃、光熱費、空いた部屋の費用の負担を決めた
  • ☐ 初期費用と退去の費用の分け方を決めた
  • ☐ 本人から受け取る寮費に、会社によって説明できない差がない
  • ☐ 寮のルールを一つにまとめた
  • ☐ 勤務の時間の違いを考えて部屋を分けた
  • ☐ 寮全体の連絡の窓口と、各社の担当者の連絡先をまとめた
  • ☐ 契約が終わったときの退去の猶予と費用の精算を決め、覚書にした

まとめ

  • 受入れ企業の違うスタッフを同じ寮に住まわせると、費用や責任の分担があいまいになりやすい
  • 契約の名義と、勤め先の違うスタッフを住まわせることが契約で認められているかを確認する
  • 家賃、光熱費、空いた部屋、退去の費用の負担を、関係する会社と書面で決めておく
  • 寮のルールは一つにまとめ、勤務の時間の違いを考えて部屋を分ける
  • 連絡の窓口を一本化し、契約が終わったときの退去の扱いを最初に決めておく

契約の名義や転貸の扱いは、物件の契約の内容によって異なります。判断に迷う場合は、管理会社や不動産会社、弁護士などの専門家にご相談ください。

次の段階 6. 届出・更新

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。