まれなことですが、外国籍スタッフが病気や事故で亡くなり、寮・社宅の部屋で見つかることがあります。日本に家族がいないスタッフの場合、会社や支援担当者が、警察や家族、大使館とのやり取り、届出、部屋の整理まで、多くの対応を担うことになります。
突然のことで動揺する中でも、必要な対応を落ち着いて進められるよう、この記事では、入居者が亡くなったときの流れと、支援担当者が押さえておきたい点を解説します。
結論:発見したら110番・119番。家族への連絡は大使館とも協力し、部屋の物は勝手に処分しない
部屋で倒れている入居者を見つけたら、すぐに119番に通報し、亡くなっている可能性があれば110番にも連絡します。部屋の中の物には触らず、警察の指示に従いましょう。
家族への連絡は、本人の緊急連絡先をもとに行い、必要に応じて本人の国の大使館・領事館に相談します。部屋の荷物や貴重品は、相続する家族の判断が必要なため、会社の判断で処分しないことが大切です。
発見から数日の間の流れ
| 時期 | 主な対応 |
|---|---|
| 発見したとき | 119番・110番に通報する。部屋の物に触らず、警察の指示に従う。会社の責任者に報告する |
| 当日〜翌日 | 本人の緊急連絡先の家族に連絡する。言葉が通じない場合は通訳を手配する。大使館・領事館に連絡し、手続きの案内を受ける |
| 数日のうち | 家族の意向(日本での火葬か、遺体の母国への搬送か)を確認する。関係者(受入れ企業、管理会社など)に連絡する |
| 7日以内 | 死亡届を市区町村に出す(親族や同居者などが届け出る) |
| 14日以内 | 在留カードを返納する。特定技能の場合は所属機関の届出を出す |
届出の期限と考え方は随時届出が必要になるのはどんなとき?ケース別の期限と届出先、連絡がとれなくなったときの安否の確かめ方は外国籍スタッフと連絡が取れなくなったとき|安否の確認・届出・住まいの整理で解説しています。
緊急連絡先と大使館の連絡先を、日頃から控えておく
いざというときに家族へすぐ連絡できるよう、入社や入居のときに、母国の家族の緊急連絡先と、使っている言語、本人の国の大使館・領事館の連絡先を控えておきましょう。緊急連絡先を本人から預かるときは、何のために使うかを伝えて了解を得ます。
部屋の荷物と契約の整理
- 荷物は勝手に処分しない。本人の荷物や貴重品は、相続する家族の物になります。家族の意向を確認してから、送る・処分するなどを決めます。
- 貴重品を記録して保管する。現金、通帳、パスポート、携帯電話などは、立会人をつけて一覧を作り、家族に渡すまで保管します。
- 管理会社に報告する。部屋で亡くなったことを管理会社に伝え、清掃や原状回復の進め方を相談します。
- ルームシェアの場合は同居人に配慮する。同じ部屋の人が住み続けられるか、一時的に別の部屋に移るかを相談します。
- 契約の扱いを決める。会社名義の社宅なら、部屋を続けて使うか解約するかを会社が判断します。本人名義の部屋の場合は、家族や管理会社と相談します。
残された荷物の扱いの考え方は退去後に荷物が残されないように|寮・社宅の残置物の扱いを入居時に決めておく、退去のときの確認は社宅の退去の立ち会い|原状回復の費用で揉めないための確認をご覧ください。
部屋の清掃と費用は、管理会社や保険と相談を
発見までに時間がかかった場合などは、専門の清掃が必要になることがあります。費用の負担や、部屋のその後の扱いについては、管理会社と相談しましょう。加入している火災保険などで補償される場合もあるため、保険の内容も確認します。寮・社宅の火災保険|誰の名義で入るか、借家人賠償・個人賠償で何が補償されるかもご覧ください。
お金と手続きの整理
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 最後の給料 | 未払いの給料を、相続する家族にどう支払うかを確認する |
| 健康保険 | 埋葬料などが出る場合がある。加入している健康保険に確認する |
| 労災 | 仕事が原因の場合は、労災保険の手続きを確認する |
| 社宅の費用 | 寮費の精算、本人負担の扱いを決める |
| 携帯電話・口座など | 本人名義の契約の解約は、家族と相談して進める |
病気やけがのときに使える制度は病気やけがで働けなくなったとき|外国籍スタッフの収入の支えと住まいの対応でも触れています。
ほかの入居者と、担当者自身の心のケアも
同じ寮で暮らしていた入居者は、大きなショックを受けていることがあります。事実を落ち着いて伝え、不安なことがあれば相談できる窓口を案内しましょう。対応にあたった担当者自身も、一人で抱え込まず、社内で支え合うことが大切です。日頃から孤立を防ぎ、体調の変化に気づける関係をつくっておくことも、こうした事態を防ぐことにつながります。外国籍スタッフの孤立を防ぐ|地域の交流の場や相談窓口につなぐ、住まいの困りごとの相談先|内容別の窓口と、支援担当者が外部につなぐときのコツもご覧ください。
入居者が亡くなったときのチェックリスト
- ☐ 119番・110番に通報し、警察の指示に従った
- ☐ 本人の緊急連絡先の家族に、通訳を通して連絡した
- ☐ 本人の国の大使館・領事館に連絡し、手続きの案内を受けた
- ☐ 死亡届と在留カードの返納、会社の届出の期限を確認した
- ☐ 部屋の荷物を勝手に処分せず、貴重品を立会人とともに記録して保管した
- ☐ 管理会社に報告し、清掃と契約の扱いを相談した
- ☐ 最後の給料、健康保険、労災などの手続きを確認した
- ☐ ほかの入居者と担当者自身のケアを考えた
まとめ
- 部屋で倒れている入居者を見つけたら、すぐに119番・110番に通報し、部屋の物に触らない
- 家族への連絡は通訳を手配し、必要に応じて大使館・領事館と協力する
- 死亡届は7日以内、在留カードの返納と特定技能の届出は14日以内が目安
- 部屋の荷物や貴重品は相続する家族の物。勝手に処分せず、記録して保管する
- ほかの入居者と担当者自身の心のケアも大切にする
必要な手続きや期限は、本人の国籍や状況によって異なることがあります。具体的な手続きは、警察、市区町村、出入国在留管理庁、大使館・領事館の案内に従ってください。