派遣会社の実務

派遣会社が外国籍スタッフの寮・社宅を用意するときの費用と注意点

外国籍のスタッフを派遣で受け入れるとき、住まいの用意は採用と定着を左右する大きなポイントです。保証人がいない、日本での賃貸契約に慣れていないといった事情から、派遣会社が寮や社宅を用意するケースが多くあります。

一方で、派遣は契約期間や派遣先が変わりやすく、住まいの費用が思わぬ負担になることもあります。この記事では、寮・社宅を用意するときの費用の内訳と、派遣会社ならではの注意点を解説します。

結論:費用は「初期費用」「毎月の費用」「退去時の費用」の3つで考える

住まいの費用は、入居のときにかかる初期費用だけで判断すると、あとで想定外の出費が出てきます。入居時・入居中・退去時の3つに分けて見積もり、派遣の契約期間と照らし合わせて考えるのが基本です。

特に派遣では、派遣契約が早く終わって住まいを短期間で解約することもあります。短期解約にかかる費用まで含めて見ておくと、住まいの選び方を間違えにくくなります。

初期費用の内訳(家賃5万円の例)

一般的な賃貸物件を法人契約で借り上げる場合の初期費用の目安です。金額は地域や物件によって大きく異なります。

項目 目安 家賃5万円の場合
敷金 家賃の0〜1か月分 0〜5万円
礼金 家賃の0〜1か月分 0〜5万円
仲介手数料 家賃の1か月分+消費税まで 〜5.5万円
前家賃 入居月の日割り家賃+翌月分など 5万円前後〜
保証会社の初回保証料 家賃の50〜100%程度 2.5〜5万円
火災保険料 2年分で1.5〜2万円程度 1.5〜2万円
鍵交換費用 1.5〜2.5万円程度 1.5〜2.5万円
合計 家賃の3〜6か月分程度 約16〜30万円

これに加えて、家具・家電や寝具、カーテン、調理器具などの生活用品をそろえる費用がかかります。新品でそろえると1人分で10万円を超えることも多く、人数が増えるほど負担が大きくなります。

毎月の費用と退去時の費用

毎月の費用

  • 家賃・共益費:住まいの費用の中心。人数で割ってスタッフに負担してもらうかどうかもここで決まります。
  • 水道光熱費:会社名義で契約するか、スタッフ本人に契約してもらうかで管理の手間が変わります。
  • インターネット回線:外国籍スタッフにとって、家族との連絡に欠かせない設備です。用意しておくと住まいの満足度が上がります。
  • 更新料:2年ごとに家賃1か月分程度かかる地域もあります。地域によっては更新料がない物件も多いので、契約前に確認しておきましょう。

退去時の費用

  • 原状回復・ハウスクリーニング費用:住んでいた人数や期間によって金額が変わります。
  • 短期解約の違約金:入居から1年未満などで解約すると、家賃1〜2か月分程度の違約金がかかる物件があります。
  • 解約予告期間中の家賃:法人契約では、解約の1〜2か月前までに予告が必要なことが多く、退去後もその期間分の家賃がかかります。

派遣契約の期間と住まいの契約条件を照らし合わせる

派遣契約が3か月や6か月で終わる見込みなのに、短期解約の違約金がある物件を借りると、住まいの費用が想定を大きく上回ることがあります。契約前に、解約予告の期間と短期解約の条件を必ず確認しましょう。

住まいの用意の仕方は4つ

方法 初期費用 毎月の費用 向いているケース
一般の賃貸を借り上げる かかる 抑えやすい 同じ派遣先で長く働いてもらう見込みがある
自社で保有・一括で借りている寮 ほぼかからない 維持費がかかる 派遣先が集中しており、常に一定の入居者がいる
マンスリーマンション ほとんどかからない 高め 派遣期間が短い、急ぎで住まいが必要
家具付きのシェアハウスなど 少なめ 中程度 1名ずつの受入れで、家具をそろえる手間を省きたい

「最初はマンスリーで受け入れ、派遣期間の延長が決まったら借上げ社宅に移る」といった組み合わせも有効です。派遣先ごとの見込み期間に合わせて使い分けると、空室や短期解約のムダを減らせます。

派遣会社ならではの注意点

寮費を給与から差し引くときは労使協定が必要

寮費や光熱費を給与から差し引く場合は、賃金の全額払いの例外として、事前に労使協定を結んでおく必要があります。差し引く項目と金額の決め方を明確にし、スタッフ本人にも本人が理解できる言語で説明しておきましょう。

また、寮費を周辺の家賃相場や実際にかかる費用より大きく上回る額に設定すると、スタッフの不満やトラブルの原因になります。会社が負担する住まいの費用が給与として課税されるかどうかも、負担割合によって変わるため、税理士などに確認しておくと安心です。

派遣が終わったときの退去をどうするか

派遣契約が終わると、同時に寮を出なければならないのか、次の派遣先が決まるまで住み続けられるのかは、スタッフにとって大きな関心事です。外国籍のスタッフは次の住まいをすぐに見つけにくいため、退去までの猶予期間を決めておくと、トラブルを防ぎ、次の派遣先への再就業にもつなげやすくなります。退去の条件は、入居時に書面で説明しておきましょう。

在留資格によって派遣で働ける人が限られる

外国籍のスタッフを派遣で受け入れられるかは、在留資格によって異なります。たとえば特定技能で派遣が認められているのは農業と漁業の分野に限られます。住まいを用意する前に、スタッフの在留資格と派遣先の仕事が合っているかを確認しておきましょう。

複数名で住む場合の広さと人数

寮で複数名に住んでもらう場合は、物件の契約上の入居人数の上限を守る必要があります。特定技能外国人の場合は一人当たりの広さの基準もあるため、複数名を同時に受け入れるときの住まい|ルームシェアの広さと契約の注意点もあわせて確認してください。

費用を抑えるためのポイント

  • 礼金なし・敷金なしの物件を優先する。初期費用を大きく下げられます。
  • 入居日と家賃の発生日を調整する。入居前の空家賃を減らせるよう、申込みの段階で相談します。
  • 家具・家電はレンタルや中古も検討する。派遣期間が短い場合は、購入するより負担を抑えられることがあります。
  • 同じ派遣先のスタッフは近くにまとめる。送迎や巡回の手間が減り、入れ替えのときも次の入居者を入れやすくなります。
  • 契約条件を一覧で管理する。物件ごとの解約予告期間や更新日を把握しておくと、退去時の余計な家賃を防げます。

まとめ

  • 住まいの費用は、初期費用・毎月の費用・退去時の費用の3つに分けて見積もる
  • 一般の賃貸を借り上げる場合、初期費用は家賃の3〜6か月分程度が目安。家具・家電は別にかかる
  • 派遣期間が短い場合は、短期解約の違約金や解約予告期間に注意する
  • 寮費を給与から差し引くには労使協定が必要。額は実際の費用や相場に見合ったものにする
  • 派遣終了時の退去の条件は、入居時に書面で説明しておく

費用の目安は地域や物件によって異なります。労使協定や税務の取り扱いは、社会保険労務士や税理士などの専門家にもあわせてご確認ください。

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。